コラム
AI時代の到来!?
みなさんこんにちは。石井です。
2023年の年明けから、すっかりブログの更新を怠っていました…
寒くなったり暖かくなったり、目まぐるしく気温が変化しますが、体調を崩したりしていませんか?
つい先ほど、藤井聡太五冠が棋王戦第二局で渡辺明棋王を破りましたね。ついに六冠に王手です。
僕は将棋は強くないのですが、いわゆる”観る将”で、解説を見聞きしながら棋譜を眺めるのが好きなんです。
棋王戦と並行して行われている王将戦では、我らアラフィフの代表とも言える羽生善治九段が挑戦者として藤井王将と戦っています。
藤井さんの八冠制覇も夢がありますが、王将戦は羽生さんを応援したい気持ちが強いです。
そんなAI時代の申し子とも言える藤井五冠ですが、将棋の定跡研究もAIによって大きく変わりましたし、何より最強のプロ棋士でもAIに勝てない時代が到来しました。
つい数年前まではプロ棋士には太刀打ちできなかったAIが、ディープラーニングによって人間を超えるまでになったわけです。
AIの進化は日進月歩で、様々なところで人間の能力をサポートするようになっています。
歯列矯正でもAI時代はやってきています。
皆さんが最近よく耳にする“アライナー矯正”はAI時代に花開いたと言っても過言ではないでしょう。
アライナー矯正は新しい治療法と思われていますが、実はずっと昔に考案された矯正治療法で、使い物にならなかったので見向きもされなかったんです。
それが、特許が切れたのと(それぐらい年月が経過しているということです)、AIの進化のタイミングが相まって急激に広まりました。
AIが進化したと言っても、AIを使いこなすのは人間です。
それを使いこなせない人間(矯正の知識がない歯科医師)がアライナー矯正を手掛けることで、先日のモニター治療の集団訴訟のような不幸な治療の犠牲者が生まれてしまうんです。
アライナー矯正は、AIがシミュレーションして歯並びを少しずつ動かして治療していきます。
その少しずつ動かすステップごとのアライナーを順番に装着していけば治療が完了する、という治療法です。
ここで問題なのは、今のところ矯正のシミュレーションをするAIは将棋のAIのように人間を凌駕するほど賢くない、ということです。
こんな風に歯は動かない、というシミュレーションをしてくることもありますし、そもそも歯を抜いて治療するとか抜かずに治療するというような診断をAIが行うわけではありません。
あくまでも診断は人間(歯科医師)が立てて、その診断に沿ってAIがシミュレーションをするわけです。
AIは律儀なので、到底治らないような診断でも頑張って治療が完了するようにシミュレーションするので、不幸な患者様が生まれるんです。
アライナー矯正が悪いわけでなく、正しい診断を立てて、AIの立てたシミュレーションをきちんと修正する知識があれば、アライナー矯正は有効な治療法です。
でも・・・個人的には今のところメリットよりもデメリットが上回っていると感じているので、当院では導入していません。
ただ、AIはこれからも進化を続けるので、いつの日か僕のような矯正専門医を超えるような治療を提供するようになるかもしれません。
将棋のプロ棋士も「AIをうまく活用している」と言っています。
AIの言いなりになっていても強くなれるわけではありません。
AIの読み筋やAIの指し手の評価から、人間である棋士が指し手を研究することで、将棋が進化しているわけです。
歯列矯正もAIの言いなりでは治療はできません。
歯列矯正の知識と経験のある矯正歯科医がAIを駆使することで最善の治療結果がもたらされるのです。
インターネット上の広告や情報に踊らされずに、正しい情報を汲み取ることが大切ですね。