矯正歯科

矯正治療というと、ガタガタの歯や出っ歯を綺麗に並べる治療と思われる方が多いと思います。もちろん間違ってはいませんが、決して見た目だけを治すような“美容”目的の治療ではありません。調和とバランスのとれた歯並びと口元は、形態だけでなく機能的にも良い作用をもたらします。

 

矯正治療はいつから始めるの?

「歯」を綺麗に並べるだけであれば、永久歯に全て生え変わってから治療を開始すれば良いのですが、「骨格」や「機能」の改善を考えると、早い時期から治療を開始する方が有利です。具体的には、受け口や左右にズレを伴う交叉咬合は3,4歳から、それ以外の歯並びでも前歯の生え変わりが終わったら一度矯正歯科医に問題がないか診察してもらうことがお勧めです。

もちろん成人になってからでも矯正治療を始めることは可能です。(ただ、成長期の患者様と比較すると治療方法の選択肢が少なくなる傾向にあります)

歯を抜かずに治せますか?

ガタガタの歯を綺麗に並べるためには、歯が並ぶスペースを作らならければなりません。そのために、矯正治療では永久歯(一般的には小臼歯)を抜歯することがあります。しかし最近は、歯を抜かずに矯正治療を希望される患者様も多くなり、治療方法も進歩してきたことから、非抜歯で(歯を抜かずに)治療できる患者様が多くなってきました。ただ、歯を抜くか抜かないかはスペースの問題だけでなく、口元のバランスや患者様の骨格によっても変わってくるので、どの患者様にも非抜歯が最善というわけではありません。患者様のご希望をお聞きした上で、様々な治療方法を検討・提示できればと考えています。

当院の矯正治療の進め方

初診・簡易検査

歯とお口の状態を診査します。歯並びとかみ合わせの状態を確認するための資料を採って分析します。

カウンセリング

簡易検査の資料をもとに、現在の歯並びとかみ合わせの問題点を丁寧にご説明します。

精密検査

矯正治療を開始するにあたり、必要となる詳細な資料を採ります。歯の状態、骨格、顎関節等を総合的に検査します。

矯正診断

精密検査の資料をもとに、矯正診断を行い、治療方針を決定します。

治療開始 矯正装置を装着して治療を開始します。月1回程度の来院が必要になります。

 

矯正治療費について

一部の先天性疾患に伴う不正咬合以外の歯列矯正治療は自費診療になります。治療費は歯並びの状態、治療時期等によって異なります。

ステップ治療(Ⅰ期治療とⅡ期治療に分けて治療する方法)の場合:Ⅰ期治療 22万円~33万円(税込み),Ⅱ期治療 44万円~55万円(税込み)

永久歯列からの治療の場合:66万円~88万円(税込み)

通院毎に調整観察料(2200円~5500円 税込み)がかかります。

Ⅰ期治療の治療期間は約半年~1年半、永久歯列の矯正治療は約2年の治療期間が必要です。その間、月1回程度の来院が必要です。

矯正治療のリスク・副作用について

矯正治療は生体に変化を加えながら、新しい歯並び・かみ合わせを作り出す治療です。患者様の協力が必要であることはもちろんのこと、予期せぬ生体反応が起こることもあります。可能な限りリスクを抑える治療を行いますが、リスクをゼロにすることはできません。主なリスクや副作用は下記の通りです。

① 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いです。
② 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
③ 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
④ 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。虫歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあります。
⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
⑧ 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
⑨ 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
⑩ 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
⑪ 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
⑫ 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
⑬ 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
⑭ 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす可能性があります。
⑮ あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
⑯ 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。
⑰ 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。

矯正歯科医の役割は、ただ単に歯を並べることだけではありません。形態と機能が調和したバランスの良い口元と歯並び、かみ合わせを実現することで、より良いお口の環境を作り出すことにあります。そのためには形態と機能の両面からアプローチすることが大切です。歯並びについてお困りのことがありましたらお気軽にご相談下さい。