歯とお口の豆知識

早期治療の目的

みなさんこんにちは。石井です。

歯並びの治療について、様々な情報がネット上に掲載されているので、先日のWELQの問題ではありませんが、患者様は本当に混乱されることと思います。

僕も患者様から、「矯正治療はいつ始めればいいですか?」とか、「矯正治療は早く始めた方がいいですか?」等、治療の開始時期についてよく質問を受けます。

それは早く始める方が絶対に良いと思わせるような情報がネット上に載っていたりするからなのかもしれません・・・

歯並び・噛み合わせの異常は、大雑把に言うと、「歯の並んでいる位置」の問題と、「上下の顎の位置と大きさ」の問題に大別されます。「歯」の問題「骨格」の問題とも言えます。

このうち、早い時期から治療を開始するのは「骨格」の問題であって、「歯」の問題は永久歯に全て生え変わってから治療することが一般的です。

 

左の患者様は、前歯と右側の奥歯が交叉咬合になっていて、下顎が右に偏位しています。

このような噛み合わせは放っておくと、下顎がより右に偏位してしまい、骨格的に左右のズレが生じてしまいます。

 

骨格のズレを治すために、早期から治療を開始しますが、歯並びを治すことはずっと先になります。

 

この患者様は、上顎と下顎の前後的な位置に大きな問題があって、出っ歯さんになっています。

上と下の奥歯は、上の奥歯が下の奥歯より半分後ろに噛んでいるのが正しい位置です。

 

おおよそ歯1本分噛み合わせがズレていることが分かります。このずれは歯の位置の問題というよりは、上顎と下顎の位置の問題が大きく、下顎がかなり後方に位置していることが原因です。

早期治療で土台(骨格)の問題をできるだけ解消し、生え変わってから歯並びを改善するというのが一般的な治療方針になります。

どうしても前歯の歯並びに目がいきがちですが、1本1本の歯を並べるのは後回しにしても問題ないことがほとんどです。

とは言っても患者様それぞれの歯や骨格によって治療方針は変わってきます。歯並びや噛み合わせで気になることがあればお気軽にご相談下さい。